興信所、探偵。
厳密には言葉の意味が異なるようですが、実態としては「人の調査を行う組織」としてほぼ同じように捉えられています。
探偵のイメージは名探偵コナンやシャーロック・ホームズ、松田優作などあると思いますが、興信所となるといかがでしょうか。先日、人気のドラマ「深夜食堂」を観た時に、お店に来た女性とその部下は自分たちのことを「興信所に勤めている」と話していましたが、企業体としては興信所という捉え方になるのかもしれませんね。あくまでも一般的な印象の話ですが。

さて、その興信所に自分自身が調査を依頼するとなった場合、どういう情報が必要なのかお分かりでしょうか。私自身が過去に調査をお願いした時の経験から、いくつかの情報をまとめてみたいと思います。

興信所に必要な情報その1:パートナーの情報

ここは言うまでもありません。
私の場合は、当時の妻の情報となりましたが、

  • 勤め先
  • 曜日ごとの行動パターン
  • 友人関係
  • よく行く場所、お店
  • 性格、特徴
  • 持っている写真

こういったところを準備していました。まずは調査の対象者が明確にわからないといけませんので、なるべく詳細に準備をしました。ここはやはり興信所の方からもありがたがられ、特に写真については”よく着る服装のパターン”ごとに提供したことが有効だったようです。
これら以外にも車の写真・ナンバー、友人の写真、相関関係を図で説明したもの、なども分かると更に理解を深められると思います。

興信所に必要な情報その2:相手の情報

これは相手を特定できている場合のお話です。
自分のケースでは特に出入りしている業者が多かったので、可能性として複数人の情報を伝えました。ですが、非常に曖昧なものも多かったので、逆に混乱させてしまったかもしれません(ただし、その中に不貞行為の相手も居ました)。

まずは名刺の情報。運良く取り出せた名刺の情報は洗いざらいお伝えしました。会社の名前、連絡先などなど。中には携帯番号もあったと思います。特に相手の会社を特定できると、相手の素性を調べる際に有効となるようです。勤め先が分かればその後の行動パターンを把握したり、相手の家族環境なども分かるようになり、不倫をしているという事実だけでなく、不倫関係にある二人がどのような状態なのかも背景も含めて見極めることができるようになります。相手も本気になっていて家族と疎遠になりつつあるのか、或いは単純に自分の嫁が相手に騙されているだけなのか(相手が離婚する気などないということ)。これらは相手のことも含めて調べないと分からない情報なので、その調査におけるヒントとなる情報もあればあるだけ調査をスムーズに進めることが出来ます。

興信所に必要な情報その3:予算感

これは興信所によると思いますが、興信所の方々は単に不貞行為を押さえるだけでなく、上記のように不倫の背景をみるべく周辺情報も含めて調査を行い対策を考えたりアドバイスもしてくれます。証拠だけ撮ってもらったらあとは自分でどうにかする!という強い方であれば、そんな情報は不要でしょうし、余計な費用も掛かってしまいます。一方で、真実を目の当たりにした時に、果たして冷静でいられるのかどうか、これから先どうやったら自分の幸せが守られるのかどうか、動転してしまう方も少なくないと思います。そういう面で、或いはアドバイザーとしての役割を求めることも興信所によっては出来ます。裁判や慰謝料、愛人とどうやって別れさせるか、等々、いきなり弁護士さんへ行ってもお金は掛かりますし、できることなら調査の後のフォローまでして欲しい、そういう要望に応える興信所も増えてきています。
ですので、まずはいくらまでならお願いできるか、予算感は事前に考えておきたいところです。愛人から慰謝料を取ってそこから捻出する!そういう戦略もあると思います。まずはどこまでお願いしたいか、いくらまでなら可能か、しっかり予算感は持っておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?
当たり前のように思いますが、いかに細かく情報を積み上げるかによって、興信所の調査は精度が大きく違ってきます。もちろん、過剰に集めすぎて相手から怪しまれてしまってはいけませんので可能な範囲で良いのですが、その情報によっても調査の設計が変わってきます。
そして、もう1つ興信所に行く際に準備しておきたいことがありまして、それは依頼をする「覚悟」です。いざ行くとなったら、徹底的に相手のことを調べてきちんと真実を知る、こういう覚悟が必要だと思います。覚悟を持って臨めば、プロの興信所の方々はしっかりと調査を行い、あなた自身を幸せに導いてくれるはずです。
不倫問題で悩まされている方は「案ずるより産むが易し」ですよ!

実際に私が体験した不倫調査について、赤裸々に書きたいと思います。
ちなみに私は不倫調査を”された側”になります。当時は探偵には無縁の生活を送っていましたが、ある日突然降ってかかったように巻き込まれてしまいました。

不倫の始まり

もう10年ほど前のことになりますが、その頃職場で同僚の女性からある相談を受けていました。それは旦那さんの”モラハラ”でした。内容は聞くに堪えないような酷いエピソードばかりで、当時はまだモラハラという言葉が一般的ではなく、相談に行った弁護士さんと話の中で出てきたキーワードでした。ただネットには僅かながらモラハラに対しての戦い方や逃げ出し方を書いていらっしゃるサイトもあり、そこで得た知識を共有しながら色々な話をする関係となっていました。

当時の自分は独身になったばかりだったこともあり、いつの間にか互いを意識するようになりいつの間にか恋愛感情を抱くようになっていきました。しかし、そこは相手方はまだ離婚していないわけですから一線を越えることはなく曖昧な状態となっていました。

それから約1ヶ月ほど経って後、事態は動き始めました。
女性の方から旦那さんへ離婚を切り出したのです。それに何かを感じた旦那さんは執拗な詮索を始めるようになります。その結果、後から分かったことですが、携帯を盗み見て私との関係を悟った旦那さんは探偵社に不倫調査の依頼を掛けたようです。私自身は当時何ら不貞行為もなくやましいことはなかったのですが、敢え無く尾行を受けたりすることとなってしまいました。

不倫調査の結果

不倫調査がどの程度続いたのかは分かりませんが、私とその女性は逢う度に尾行されていたと思われます。ですが手をつなぐ程度のことはあってもそれ以上の関係はなく証拠は何も取れずに終わったようです。なぜならこの数年後にその旦那さんと私は裁判までもつれ込むのですが、なんら一つの証拠も提示できなかったのです。
知人づたいに聞いたところによれば安さを売りにした探偵会社だったようで、何かと理由をつけては調査費用を取られ、挙句の果てには不倫の証拠が取れないとう結果になったことでその怒りの矛先がこちらに来てしまったというわけです。

それから数ヶ月の後、夫婦関係は完全に破綻しているにも関わらず旦那さんは離婚には応じず、夫婦は別居することとなります。ご両親も間に入り、モラハラの現実を知り、いたく激怒したということでした。

そこから私たちは普通に付き合うようになりました。この段階では夫婦関係は破綻していると考えていたわけですが、法的には破綻とはいえないということは後から知ることになります。(この頃の携帯のやり取りを証拠に、後に不貞を働いたとして私は訴訟を起こされます)

不倫の代償

探偵社に不倫調査を依頼しながらも不貞行為を押さえることが出来ず、唯一の証拠は携帯のやり取りとなりました。もちろん、それだけでは裁判の証拠としては弱く、不倫調査をしっかり行う必要があったかと思います。ですが、証拠能力が弱いものでもいくつか集まってしまうと状況的に”破綻前に不貞行為があった”という判断は行われてしまい、裁判においては不利に働くようです。

結果、私は証拠能力が有効となる3年を満了するギリギリのタイミングで訴えられました。300万円の慰謝料請求でした。もちろん、相手に証拠もなければ、こちらとしても夫婦間の破綻関係を主張するのみです。夫として果たすべき責任を果たせていなかったのではないかと。

裁判は非常に長くなりました。私も言われるばかりではなく、破綻を証明するべく友人たちの証言を集め、ありとあらゆるエピソードを証拠書類として提出しました。この時ばかりは逆に旦那さんの浮気でも不倫でも何かしらあら捜しをして不倫調査でもやっておけば良かったなどと考えたりもしましたが、覆水盆に返らずで、まずは今わかっていることをひとつひとつ証拠として集めました。

裁判の経過としては一進一退でしたが、こちらの証拠が有効だとなり始め、最終的には”旦那さんの問題が大きい”という空気で勝利を感じていた矢先、裁判長からの呼び出しがありました。「あなたの方が有利ではあるが、無駄に時間を掛けるよりは、和解ということで少額でも慰謝料を払ったらどうだ」というお話でした。不倫の明確な証拠があるわけでもなし、そんなことに応じる必要があるのかと思いましたが、裁判長いわく「例え破綻状態にあったとしても期間は短く、不貞関係、不倫関係があったということは法的には考えざるをえない。であれば一定の慰謝料は無理のない話である。」といったことをお話されていました。残された裁判期間や、これまでも不倫調査への不快感等を考えると50万の慰謝料は私にとっては安いとさえ思えました。

不倫調査の大切さ

こうして私の不倫調査にまつわる裁判エピソードは無事に終えました。ですが、この時に感じたことが証拠の重要性なのです。証拠が無いから長引き、証拠が無いから、慰謝料も小さくなった。相手からするとそうだったのではないでしょうか。また不倫調査を行う上で、結果が全てであり、証拠が取れなかったら安くても何の意味もありません。安さを売りにしている会社が気になる気持ちは分かります。「XXXだったら0円」みたいな表現についつい惹かれる気持ちも分かります。ですが、それで良いんですか?と私は思います。

しっかりとした組織で、間違いのない調査品質があるからこそ、探偵社に不倫調査を依頼する意味があるのであって、やすかろ悪かろでは、本当に仕方がない世界なのです。

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