セックスレスとは
最近、どんなに仲がよく見えるカップルでもセックスレスで悩む夫婦が増えているのをご存知ですか?
カップルのどちらかがセックスをしたいと望んでいるのに、長期間 性行為に及ばない状態、一般的には、この状態を「セックスレス」と呼んでいます。
- 子どもが欲しいけれどセックスレスが理由で妊活に踏み込めない
- 愛情を分かち合いたいのにセックスに踏み込めない
など、夫婦関係が険悪でなくてもセックスをする行為が消極的になることでセックスレスになってしまうケースが最近増えていて、レスの悩みは私が知る限りでもここ10数年ほどでよく見聞きするようになりました。
かつては、婚姻関係が長く続くことでマンネリしてしまうカップルがこのセックスレスになりがちだとされていましたが、最近では新婚カップルでいちばん幸せな時期なのにセックスレスという夫婦もいます。人生で妊活に適していたはずの新婚生活の数年間を無駄にしてしまったと嘆く声も実は少なくありません。
セックスレスはお互いが本当に納得できていれば問題には発展しませんが、デリケートなためにどちらかが言い出せないまま悩み続けているということが多いんです。だからただ「悩んでいるだけに留まる人」の状態から依存したり相談相手を求めたまま「浮気」に発展しやすいだけでなく、「離婚」を選択する人もいます。
いまは3組に1組は離婚する時代といわれていますが、できるなら末永くパートナーと婚姻関係を続けたいもの。
今セックスレスについて悩んでいる方も、そうでない人も、離婚事由のひとつにもなりうる「セックスレス」について今一度考えてみましょう。
セックスレスと日本の性教育
セックスレスを増長させた大きな要因として、日本の性教育の遅れがよく取り上げられます。
参考までに2013年AERAの記事で指摘された記事を紹介します。日本の性教育について性教育が学習指導要領の中でネガティブに取り上げられたことが日本の性教育の遅れにつながったのではないかといった内容でした。
日本の”性教育元年”と呼ばれる1992年から始まった。80年代後半に起きたエイズパニックの影響で学習指導要領が改訂され、小学校でも性教育の授業が行われるようになった。5年生の理科でヒトの発生を扱うようになり、新たにできた「保健」の教科書には、思春期の体の発達を示すイラストが全裸で描かれていた。
「それまでは、性=汚らわしいもの、というネガティブなイメージの性教育が多かった。中学・高校では、望まない妊娠による中絶の生々しい資料を見せたり、水子供養の話を教えたり」
ところが、一部から批判が強まり、教科書の内容が変わっていった。「全裸だったイラストは着衣になり、生命の発生を教えるページでは、ヒトではなく、なぜかウニをモデルにしています」
わたしは’80年生まれですが、たしかに..思い返せばこれほどセックスレスについて言葉にできるようになったのも、ここ最近の話し。「性」が汚らわしいもののようにネガティブな印象を抱えていた時代って確かにありました。
自分が通った小・中学校では保健体育の授業では性教育は、とても言いづらそうに授業がおこなわれ、親も「そういうことは学校で教わるでしょ」と学校まかせでしたし、男女が裸で抱き合う行為はやっぱり恥ずかしい光景に思えていたので、「人の命が生まれるための行為」なんだと真正面から捉えられるようになったのもずいぶん後のことだったと思います。
いまだ友人同士でセックスレスについてあまり語らうことはありませんが、ネットの普及と共に掲示板の書き込みで質問の投稿者が増えたのもつい10年ほど。打ち明けにくいテーマも匿名でこういう相談をできるようになったことですよね。まだまだ「性」についてのテーマは勘違いされがちな相談の部類であるようですが、世間の認知や理解が広まったのが同じくここ10年ほどなのではと思います。
「性教育の遅れ」に対して問題視ばかりしていても意味がありませんが、セックスレスの問題を解消するには、悩みの根底にある「ネガティブ」を取り外して一人の問題から夫婦の問題として捉えられるかというところにあります。どれだけ夫婦が長く連れ添って「子どもが欲しい」という言葉ではいえても「性欲」についてサラリと包み隠さず語らえるというのは憧れますよね。
恥ずかしさもあるとは思いますが、相手がどうしたら気持ち良く感じられるかということや身体の変化に関する疑問は、どんな本を読むよりも相手の言葉から出た形が一番の答えです。
セックスレスの割合
長期間性行為に及ばない状態を一般的にセックスレスと呼ぶということは先に紹介しましたが、厳密にいうと日本性科学会では病気など特別な事情がないのに、1か月以上性交渉がない状態をセックスレスとしています。
また、セックスレスで悩むカップルが実際、どの程度の割合に増えているのかというと、
JFPA(一般社団法人 日本家族計画協会)の婚姻関係にあるカップルの調査ではセックスレスの割合は2004年の31.9%から2015年には44.6%とゆるやかに増加している結果となりました。JFPAに報告があった一部の結果のみにすぎませんがそれでも婚姻中の4割がセックスレスというのは多い方ではないでしょうか。
気になる調査結果がもうひとつ。株式会社リクルートマーケティングパートナーズが、結婚から1年半以内の花嫁1,000名に行った『ゼクシィ』のアンケートで、結婚前と結婚後ではセックスの回数が「減った」という人がこれもまた4割もいることが判明したという結果です。なかには「まったくしていない」という人も1割以上いました。
▼ 結婚後どのくらいの頻度でセックスしていますか?
- 週2回以上……..23%
- 週1回以上……..25%
- 月2~3回……..19%
- 月1回……….10%
- 2~3か月に1回…7%
- まったくしていない…12%
結婚から1年半以内というとまさに、新婚といわれるいちばん幸せな期間。なのにこれほどセックスレスについて感じている夫婦がいるというのですから、夫婦の性の意思疎通をはかるのはなかなか簡単ではないようです。
セックスレスになってしまうの理由とは
繰り返しになりますが、夫婦がセックスレスになってしまうのは、マンネリだけが理由ではありません。
人生折り返しといわれる40代から定年前の59歳までの既婚男女にお互いをどのように感じているのかというアンケートを美容外科『東京イセアクリニック』(医療法人社団心紲会/東京都新宿区 総院長・吉種克之)が2018年10月に実施しました。
グラフからわかるのは圧倒的に妻がセックスに対して乗り気ではないこと。33.3%の妻が意識して「その気にならない」と語るだけでなく、43.5%の夫側の回答でも妻が乗り気ではないことを問題視していることがわかりました。また、男性側の気持ちの上でも「その気にならない」という回答が多数だった今回の結果。注目すべき回答からセックスレスになる理由を「妻」と「夫」に分けて紹介します。